北鎌倉古民家ミュージアム

100年の歴史を感じる古民家とアートの静寂空間

北鎌倉古民家ミュージアムとは？｜歴史や由来

北鎌倉古民家ミュージアムは、江戸時代後期から明治時代初期（19世紀前期から中期）にかけて建てられた築100年以上の古民家を移築・再生した展示施設です。福井県から移された三棟の古民家と板倉、さらに横浜市磯子区の料亭を組み合わせることで、唯一無二の空間を創り上げています。

なかでも、横浜から移築された料亭には、三溪園の創設者として知られる実業家・原三渓も訪れていたとされ、その歴史的価値は非常に高いものです。建築そのものが美術品のような存在であり、訪れる人々に日本の伝統文化の奥深さを伝えています。

福井県の豪雪地帯に見られる伝統建築技術を受け継いだ建物には、柔軟性と耐久性を兼ね備えた松の梁や、頑丈な欅（けやき）の柱が用いられています。2階からはこの力強い梁の構造を間近に観察でき、建築美に触れる貴重な体験となります。

さらに、中庭に面した扉の上部には、大正時代から昭和時代初期（20世紀前期）にかけて制作されたステンドグラスがはめ込まれており、和の空間にさりげなく溶け込んだ西洋的装飾が来館者の目を引きます。インテリアもレトロな家具やランプで統一され、温かみのある空気が流れています。

「温故知新」と書かれた書が館内に掲げられていますが、これは徳川家第16代当主・徳川家達（とくがわいえさと）によるものです。この言葉が象徴するように、北鎌倉古民家ミュージアムは、過去から学び、今に活かすという理念を体現する空間となっています。

古民家と現代アートが共存するこの場所は、日本の美意識や暮らしの知恵を次世代に伝える文化的な拠点でもあります。

展示は定期的に入れ替えが行われるため、訪れるたびに新しい発見があります。なかでも毎年初夏に開催される「あじさい展」は特に人気です。中庭や小道に咲くアジサイは100種類以上にのぼり、鉢植え展示が中心のため、珍しい品種も間近で楽しめます。

静かな空間で季節の花々を眺めながら、古民家の趣とともにゆったりとした時間を過ごせるのが魅力です。館内外ともに写真撮影が可能で、アート作品や草花の美しさを記録に残すことができます。

宗教施設ではないためおみくじや御朱印の授与はありませんが、訪れた人が口を揃えて語るのは「心が整う」という感覚です。古民家の静けさと、自然の彩り、そしてアートの存在が絶妙に調和し、訪れる人の心を穏やかに整えてくれる——それがこの場所の真の魅力といえるでしょう。

北鎌倉古民家ミュージアムは、JR北鎌倉駅から徒歩約5分の場所にあります。円覚寺や明月院といった有名寺院が並ぶ北鎌倉エリアの一角に位置しており、周辺散策の合間に立ち寄るのにも便利です。

トシズプレイスに宿泊している方は、電車で北鎌倉駅へ向かうのがスムーズです。完全無人・非対面のチェックイン・チェックアウト方式なので、朝の時間も自由に使えます。

開館時間は原則10:00〜16:00頃まで。休館日や特別展示などで変更されることがあるため、公式情報を事前に確認しておくと安心です。

北鎌倉エリアには、円覚寺、明月院、建長寺などの歴史ある寺院が徒歩圏内に点在しています。特に明月院のアジサイは全国的に有名で、古民家ミュージアムと組み合わせて訪れることで、初夏の北鎌倉を一層深く味わえます。

また、駅周辺には落ち着いた雰囲気のカフェやギャラリーも多く、散策と合わせてのんびり過ごすのにもぴったりです。

北鎌倉古民家ミュージアムは、日本の伝統建築とアート、そして四季の自然が調和する、知的で静かな時間が流れる場所です。再訪するたびに新たな発見がある展示と、100年以上の時を経た建物が紡ぐ物語が、訪れる人の心に深く残ります。

トシズプレイスに滞在しながら、朝のゆとりある時間を活かして北鎌倉エリアを散策し、ミュージアムの静けさと美に身をゆだねる——そんな「暮らすような旅」が、日常を忘れさせる特別なひとときを演出してくれます。