悠久の歴史に想いを馳せる旅

特集

鎌倉の通好みが選ぶ穴場10選

Mossy forest path leads to a traditional Japanese temple gate with stone lanterns; overlay text reads 山鎌倉の穴場10選 (Kamakura’s 10 hidden spots).

鶴岡八幡宮や大仏では味わえない、鎌倉の本質に出会う10ヶ所。観光客の喧騒を離れ、静かな寺院・邸宅・庭園で鎌倉の奥行きを感じたい方へ、宿泊ゲストにお薦めしている穴場をご紹介します。

鎌倉の定番を超えた静かな名所とは

鎌倉の穴場とは、超定番の鶴岡八幡宮や大仏では味わえない、鎌倉の奥行きを感じさせる場所のこと。本記事では、深い歴史と静謐な雰囲気を持つ寺院、邸宅、庭園の中から、宿泊ゲストの皆様にお薦めしている10ヶ所を厳選してご紹介します。 選定の基準は3つ。第一に歴史的価値が高いこと。第二に建築や庭園の美しさを味わえること。そして第三に、何より「静けさの中で本物に出会える」体験ができること。年末年始や大型連休といった混雑する時期にも、ゆっくりと鎌倉の文化を堪能できる場所ばかりです。 鎌倉を二度三度と訪れた方、また初訪問でも喧騒を避けたい方に、鎌倉の奥行きを感じていただけるはずです。

寺院・邸宅・庭園で味わう、鎌倉の静寂

妙本寺

鎌倉駅徒歩8分、雑踏が嘘のように消える谷戸の静寂

鎌倉駅東口から徒歩8分、比企谷(ひきがやつ)の奥に佇む日蓮宗の本山。総門をくぐった瞬間、駅前の喧騒が嘘のように消え、緑に包まれた参道だけが静かに奥へと伸びていきます。鎌倉幕府の御家人(幕府に仕えた武将)・比企能員(ひき よしかず)一族の悲劇の地に建つこの古刹は、宿泊ゲストからも「鎌倉にこんな静かな場所があったとは」と驚かれる、駅近の穴場です。

英勝寺

鎌倉唯一の尼寺、竹林に包まれた江戸の風雅

扇ガ谷(おうぎがやつ)に佇む、鎌倉に現存する唯一の尼寺(あまでら、女性の僧侶が住む寺)。17世紀前期、徳川家康(とくがわ いえやす)の側室・英勝院(えいしょういん)が創建しました。鎌倉の竹林といえば報国寺(ほうこくじ)が定番ですが、観光客で混み合う報国寺と違い、英勝寺の竹林は驚くほど静か。人のいない竹林の写真が撮れる、鎌倉でも稀少な穴場です。


寿福寺

鎌倉五山第三位、石畳の参道に誘われる北条政子ゆかりの禅寺

鎌倉五山(鎌倉時代において特に重要とされた五つの禅寺)の第三位に列せられる古刹。12世紀末期、鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝(みなもとのよりとも)の妻・北条政子(ほうじょう まさこ)が創建しました。最大の見どころは、総門から続く長く美しい石畳の参道。両側に並ぶ古木の間を一直線に伸びる石畳を歩くと、五山の格式とは思えぬほど観光客が少なく、参道に響くのは自分の足音だけ。鎌倉駅から徒歩10分とは思えぬ静寂の穴場です。

光則寺

賑わう長谷寺のすぐ隣、知る人ぞ知る花の寺

長谷寺(はせでら)から徒歩わずか3分の場所にありながら、訪れる人がぐっと少なくなる花の寺。13世紀後期、日蓮(にちれん)の弟子・日朗(にちろう)を弔うために建立されました。境内は四季折々の花々で彩られ、特に春のカイドウや夏のヤマアジサイは知る人ぞ知る名物。観光客で賑わう長谷寺の喧騒が嘘のように消える、長谷エリアの穴場です。


長寿寺

足利尊氏ゆかり、季節限定公開の禅庭

北鎌倉の建長寺(けんちょうじ)から徒歩数分、鎌倉幕府滅亡後の室町幕府の初代将軍・足利尊氏(あしかが たかうじ)ゆかりの禅寺。春・秋の限定公開期間のみ拝観できる希少な寺院で、苔と石、紅葉と新緑が織りなす禅庭の美しさは鎌倉でも屈指です。観光客で賑わう建長寺円覚寺(えんがくじ)のすぐそばにありながら、限定公開ゆえに訪れる人は少なく、静かに庭園を堪能できる穴場です。

一条恵観山荘

滑川のせせらぎとともに、皇族の山荘で味わう抹茶

報国寺(ほうこくじ)・浄妙寺(じょうみょうじ)を訪れた多くの人は、そのままバスに乗って鎌倉駅へ戻ってしまいます。しかし、もう少しだけ歩を進めれば、知る人ぞ知る穴場が待っています。17世紀、後陽成(ごようぜい)天皇の皇子・一条恵観(いちじょう えかん)が京都に建てた山荘を、昭和34年(1959年)に現在地へ移築した国の重要文化財。滑川(なめりがわ)沿いの庭園を眺めながら茶屋で抹茶をいただくひとときは、観光の喧騒から離れた静かな時間です。


旧華頂宮邸

報国寺の少し先、フランス風庭園を擁する旧皇族の洋館

報国寺(ほうこくじ)からほんの少し足を延ばすだけで出会える、知られざる穴場。昭和4年(1929年)、華頂宮(かちょうのみや)家の邸宅として建てられたハーフティンバー様式の洋館で、国の登録有形文化財に指定されています。前庭にはフランス式庭園が広がり、鎌倉の寺社巡りの中で出会う「もう一つの鎌倉」として、訪れる人を驚かせます。

妙法寺

苔に覆われた石段、鎌倉の「苔寺」

京都の苔寺(西芳寺)に対し、鎌倉の「苔寺」として知られる日蓮宗の寺院。13世紀中期、日蓮(にちれん)が松葉ヶ谷(まつばがやつ)に構えた草庵の跡に建てられたと伝えられます。最大の見どころは、緑の絨毯のような苔に覆われた石段。苔の保護のため通行はできませんが、その美しさは息を呑むほどで、鎌倉でも稀有な景観です。鎌倉の主要観光地から少し離れているため訪れる人はまばら。定番スポットが混雑する時期にこそ、足を伸ばす価値のある穴場です。


安国論寺

日蓮『立正安国論』ゆかり、松葉ヶ谷の静かな古刹

妙法寺(みょうほうじ)と同じ松葉ヶ谷(まつばがやつ)に佇む日蓮宗の寺院で、妙法寺とあわせて訪れたい一組の名所です。13世紀中期、日蓮(にちれん)がこの地で『立正安国論(りっしょうあんこくろん)』を著したと伝えられる、日蓮宗にとって特別な聖地。境内裏手の山道を登ると鎌倉の街並みを見渡せる富士見台があり、四季折々の花々も楽しめます。鎌倉の主要観光地から少し離れたエリアにあるため訪れる人は少なく、定番スポットが混雑する時期に足を伸ばしたい穴場です。

光明寺

: 鎌倉駅から離れた、海近くの大伽藍

材木座(ざいもくざ)海岸の近くに佇む浄土宗(じょうどしゅう、阿弥陀如来を信仰する仏教の宗派)の大本山。13世紀中期、執権(実質権力を握った将軍代理)・北条経時(ほうじょう つねとき)によって創建されました。鎌倉でも最大級の山門は国の重要文化財に指定され、広大な境内には記主庭園と三尊五祖の庭、二つの趣の異なる庭園が広がります。鎌倉駅から少し距離があるためバスでのアクセスとなり、訪れる人は驚くほど少ない穴場。喧騒から離れて大伽藍の静寂を独り占めできる、本記事の締めくくりにふさわしい一ヶ所です。